記事: 最高の一杯は、冷蔵庫の前で10秒考えるところから始まる。

最高の一杯は、冷蔵庫の前で10秒考えるところから始まる。
こんにちは! こしきブリュワリーです。
突然ですがちょっと、聞かせてください。
みなさんは、クラフトビールを飲む時 何と組み合わせますか?
例えば、
「IPAを呑む時は、〇〇が食べたくなる」とかありますか?
今回のブログは、いつもと趣向を変えて 「クラフトビール x グルメ」をテーマにした記事とマンガでお届けします。
AIマンガ「とりあえず”ビール × 〇〇 ” オレは、思考停止だった」
・・・疲れきった、ある日の晩酌。
冷蔵庫からビールを取り出して、コンビニの唐揚げを皿に盛る。
プルタブを開けて、一口。唐揚げを頬張って、もう一口。
……最高。
でも、ボクはある日、ふと気づいてしまったのです。
「この組み合わせる理由を、考えて選んだことがない」と。

100種類以上のスタイルに「唯一の正解」はない お供を決める前に、知っておくべきことがあります!それは、・・・クラフトビールの世界には、100種類以上ものスタイルが存在するということ。
▪️苦くて力強いIPA。
▪️真っ黒でコーヒーのように香ばしいスタウト。
▪️フルーティで軽やかなヴァイツェン。
それぞれが、まるで別の飲み物かと思うほどに、味わいのベクトルが違います。
そして、ここがクラフトビール x 〇〇の核心なのですが。 考えてみれば、味がこれほど違うのに合わせる料理が「唐揚げ」一択で済むわけがない!
「すべてのクラフトビールに合う、たった一つの料理」
なんてものは、存在しません!(あくまで、個人の意見です。)
これは裏を返せば、 「クラフトビールの数だけ、最高の一皿がある」ということでもあります。(個人の自由です。)
「ABCメソッド」という、たった3つの法則
では、どうやって「最高の組み合わせ」を見つけるといいのでしょうか?
実はクラフトビールと食のペアリングには、**「ABCメソッド」**と呼ばれる 基本法則が3つあります。
A — Accent(強調) B — Bridge(橋渡し) C — Contrast(対比)
まずは、【A — Accent(強調)】
甘みに甘みをぶつけて、輪郭を際立たせる。ビールが料理のある一面を増幅させて、味の解像度を上げる考え方です。たとえば、フルーツタルトにトロピカルな風味のビールを合わせる。甘さが甘さを呼び、一口ごとに味の奥行きが深くなっていく。

次に【B — Bridge(橋渡し)】
互いの足りない要素を補完し、架け橋をかける。料理とビールの間に「共通項」を見つけて、両方をスムーズにつなぐ発想です。クリーミーなソースの料理に、まろやかな口当たりのビールを合わせる、というように。どちらかが主役ではなく、二人三脚で味わいを完成させる。

最後【C — Contrast(対比)】
そしてC。強烈な苦味で脂を切り裂き、口の中を初期化する。これが、最も直感的で、最も破壊的なペアリングです。脂っこい料理にホップの効いたIPAを合わせると、口の中がリセットされて、次の一口がまた「最初の一口」になる。

この3つの法則を知っているだけで、クラフトビールと料理の関係がまったく変わります。
「とりあえずビール」が、「だからこそ、このクラフトビール」に変わる瞬間です。

IPAだけでも、世界が4つある
ABCメソッドの威力が最もわかりやすいのは、IPA(インディア・ペールエール)かもしれません。
IPAと一口に言っても、実はサブスタイルごとに性格がまるで違う。
「ウェストコーストIPA」 — 鋭く、力強い苦味。ガツンとくる。こいつには、同じ「ガツン!」をぶつけます。中辛のカレー、ハラペーニョ入りのメキシカンバーガー、揚げ物。脂とスパイスをIPAの苦味が切り裂いて、口の中が一瞬でリセットされる。C(対比)の真骨頂です。
「ニューイングランドIPA(NEIPA)」 — ジューシーで、トロピカル。苦味はやさしい。攻めるのではなく、寄り添うタイプ。クリーミーなピーナッツソースのチキンサテ、軽めの魚料理、フルーツタルト。AとBを駆使して、甘みやクリーミーさを引き出すペアリングが映えます。
「イングリッシュIPA」 — 麦芽の温かみと、穏やかな苦味。フィッシュ&チップス、コテージパイ、チェダーチーズ。イギリス料理と合わせると、麦の旨味が料理のコクと手を結んで、じんわりと広がる。これぞB(橋渡し)。
「ダブルIPA / インペリアルIPA」 — ホップの暴力。アルコール度数も高い。相手も強くなければ、飲み込まれます。ゴルゴンゾーラなどのブルーチーズ、BBQリブ。強烈な味わい同士がぶつかり合って、互いを高め合う。弱い相手とは組めない、格闘技のような組み合わせです。

IPA以外の世界も、途方もなく広い
もちろん、IPAだけがクラフトビールではありません。
「スタウト」 — 漆黒のローストされた風味には、 チョコレートデザートやBBQ。甘苦い香りに、甘苦いものを重ねる。A(強調)の王道です。
「ピルスナー 」— 爽快で透明感のある味わいには、 サラダ、寿司、軽いスナック。繊細な料理の邪魔をせず、そっと引き立てる。控えめだけど確かな仕事をする、名脇役のようなペアリング。
「小麦のビール(ヴァイツェンなど)」 — 柑橘系のやさしい風味には、シーフードや柑橘を使った料理。レモンを絞った白身魚のカルパッチョに合わせたら、もう止まらなくなります。
「ベルジャンエール」 — 酵母が生み出す複雑な風味。スパイシーでフルーティで、どこか神秘的。チーズやローストした肉料理と合わせると、予想もしなかったハーモニーが生まれる。
ホップ、モルト、酵母。
この3つの要素が絡み合って、クラフトビールは途方もない複雑性を持ちます。
それは、ただの食前酒では終わらない。ガストロノミー(美食)の領域に踏み込む飲み物なのです。

面倒くさいけど、それがいい
ここまで読んで、「面倒くさそう」と思った方もいるかもしれません。
正直に言います。
「面倒くさいです。」
100種類以上のスタイル。無数の料理。「すべてに合う、単一の正解」なんて存在しない。
でも、ボクはむしろその「正解がない」ところにも 惹かれるのです。
正解がないからこそ、自分で探せる。 正解がないからこそ、失敗すら楽しい。 正解がないからこそ、昨日の晩酌と今日の晩酌が、
まったく違う体験になる。 今夜、冷蔵庫からクラフトビールを取り出す前に、
ほんの10秒だけ考えてみてください。
「このクラフトビールは、A(強調)か、B(橋渡し)か、C(対比)か」
たったそれだけで、いつもの晩酌が小さな冒険に変わります。 思考停止の「とりあえず」を手放した先に、
自分だけの「最高の一杯」が待っているかもしれません。
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